<ごく稀ではありますが、ボディカバーの使用によって問題が発生したとお客さまからご報告を受けることがあります。仲林工業では、そのような事態になった際、原因を追究させていただくとともに、今後、その内容をネット上にて公開することに致しました。
公開することでさまざまなご意見や情報を頂戴できるかもしれませんし、また、仲林工業ボディカバーをご検討されている方にとっての情報や判断材料にもなり得ると判断したためです。
お客さまのお名前はもちろん、特定される場所柄やディーラー店さまの名称は伏せております>
今回は、ボディカバーのはっ水性についてです。
先日、お客さまからカバーのはっ水性がどうもおかしい、というご連絡を頂戴しました。
仲林工業製品をご愛顧くださっているお客さまで、申されるには、今回新調したボディカバーが1ヶ月程の使用でカバー内に雨水が浸透したとのこと。
お客さまが抱かれた疑問点をまとめますと、
- 初回のカバーは最初の半年はまったく雨水は浸透しなかった
- カバー生地そのもののはっ水性が疑わしい
- 生地表面の水の弾き具合が前回とちがう
- 生地の仕様(造り)を変えられたのでは?
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コチラでも掲載していますが、仲林工業ボディカバーは、生地自体にはっ水加工を施しているものの、ミシンによる縫い目があるため、そこから雨水がカバー内へ浸透することはあります。
同じ雨は二度となく、かなりの雨量であったり、雨の降りつける角度が変われば、カバー内への雨水は浸透しやすくなります。
また、生地に変更はありません。
それらをお伝えさせていただいたのですが、お客さまは疑問を抱かれており、弊社もどういう状態なのか確認・調査させていただきたく、問題のカバーをお戻しいただくことになりました。
ちなみに、お客さまのお車への悪影響は発生しておりません。
雨水の「弾き具合がちがう」というご連絡を頂戴したのは今回が初めてで、もともと生地は、加工工場さまにてはっ水等の加工を施されたものを何千メートルと仕入れており、その生地から何百台ものボディカバーを生産致しますので、1台だけのボディカバーに問題が出る、ということはまずありません。
それではいったいどうなっているのかとお戻しいただいたボディカバーを確認しましたところ、まず驚いたのが、まだご使用1ヶ月程とは思えないほど、生地表面が汚れていたこと。
土汚れというのでしょうか、泥のコーティングがされたような印象です。
霧吹きで水道水を噴射してみました。
お客さまが申されていた、「ベタッ」とした感じになっています。
しかし、はっ水性は見受けられます。
気になるのが、やはりカバー表面の泥の汚れ。それも、ルーフに該当する部分がもっとも汚れています。
試しに、汚れを拭き取ってみました。
使用したのは、
仲林工業オリジナル大判布巾<アブゾーブ>。カバー表面の汚れ取りやメンテナンス用に開発された布巾です。
すると、みるみるうちにきれいな生地表面が覗きました。
▽泥でコーティングされたような生地表面
▽泥のコートを拭き取って覗いた生地表面。
若干ですが、ちがいにお気づきいただけますでしょうか。
それぞれの水の弾き具合を確認します。
▽泥でコーティングされたような生地表面。
▽その泥のコートを拭き取って覗いた生地表面。
拭き取った部分の生地の方が、きれいに水を弾いています。
もっとも、これは当然のことで、はっ水加工のされた生地の表面をさらにコーティングしたように泥汚れの層が出来ていたら、その泥汚れの表面では、水分はびちょっとなってしまいます(泥汚れのコートにはっ水性はないため)。
導き出された結論はこうです。
新調したボディカバーをお車に使用し始めておよそ1ヶ月後、大雨に打たれます(まだ新品にもかかわらず、カバー内に雨が浸透したのですから、かなりの豪雨だったと想像されます)。雨は、土埃を充分に含んだ泥水に近いものでした。
その雨が降りつづけたことにより、ボディカバー表面(特にルーフ部分やバンパー上部)に、薄い泥のコートができてしまった。
雨が止み、カバーも乾きます。しかし、カバー表面に付いた泥汚れはそのままコーティング状態で残ります。そのカバーを装着してまた雨に濡れた際、今回のように水の弾き具合がちがう、と感じられたものと思われます。
お客さまの使用状態、また使用環境を充分に把握することができませんので、あくまで現物のカバーを確認したうえでの予想、判断なのですが、お客さまに事情をご連絡しましたところ、「なるほど」と納得いただけました。
また疑われていた生地そのもののはっ水性について、簡単なテストを行いました。
カバーの中に洗面器を置き、そこに水溜まりを作ります。
それを放置。
5時間、たっぷり経過しました(日が傾いています)。
見た感じでは、特に変化はありません。
水を吸取り、浸透具合を見てみます。
仲林工業でも、定期的に試験を行っており、当然の結果ではあるのですが、みごとに1滴の水の浸透も見られませんでした。
洗面器はまったくもって濡れておらず、水によるひんやりとした冷気だけがかすかにこもっています。
▽水を受けていた面の裏側、起毛部分です。濡れていません。
今回は、カバー生地のはっ水性について改めて確認させていただく、良い機会になりました。
まだ新品のボディカバーがお手元にあるお客さまで気になられる場合は、ご家庭でも簡単にできるテストですので、試してみてください。充分なはっ水性を確認いただけるものと思います。
ただ、洗面器に受ける部分に縫製箇所(ミシン目)がありましたら、そこからは浸透します。また数ヶ月使用されたカバーでは、環境によって生地が傷んでいて、浸透することもあります。
今回の調査で、雨の汚れ具合によっては一気に耐久性が落ちてしまう場合があることを思い知らされました。
例えばボディーカバーを使用して1ヶ月後に今回同様の問題の大雨に打たれるのと、1年後に打たれるのとでは、結果的にカバーの寿命におおきな差が出るものと推測されます。
このような事態を払拭するために、一昨年より開発致しました
仲林工業オリジナル大判布巾<アブゾーブ>、こちらによる定期的なメンテナンスが効果的であることが実感できます。
オリジナル大判布巾<アブゾーブ>は、現在、単品でもご注文可能です。ご注文フォームは
コチラ。
また次回カバー買い替えの際にも、同時購入をご検討いただけましたらうれしいです。
今回はボディカバーのはっ水性についてのご報告でした。
2018年5月25日 追記:コメントにて、大悪オヤジ さまからご指摘頂戴致しました。
問題のカバーが返ってきた際、カバー表面に泥が付いた状態が確認され、「泥のこびりつき」であることから、「土埃を充分に含んだ泥水に近い雨が降りかかった」と安直にイメージ致しました。
しかしながら、雨そのものの成分として、「土埃を充分に含んだ泥水に近い雨」というのは考えられません。
コメント欄でもお書きいただいているのですが、「カバー表面が雨の後の乾ききってない間に、強風により雨で濡れていない地面等の土埃が飛来し、それが湿気っているカバー表面に付着、そのまま乾いた」結果、と捉えた方が正確でした。
ブログ本文を修正することも可能でしたが、お知らせいただきましたことも含めて記録したく、あえて追記として訂正させていただきます。